ミステリータウン HOME  email  

ミステリタウン HOME   鎌倉ルパン   鎌倉ルパンTOP    評価順   日付順   書評一覧

Total: 358   1-50  次の50件
1  2  3  4  5  6  7  8 



Google [PR]求人・転職

戦時下動物活用法  清水義範  7点 102 2010/01/22  
ユーモア短編小説集。 それなりに面白いんだけど、1編1編がちょっと長いかな? 「ダイヤの花見」なんか、最後の1文のオチがなかなか秀逸なんだけど、そこに行きつくまでが長すぎる〜 「味覚戦争」の皮肉な結末には笑っちゃいました。 「栄養伝説」の、健康おたくが宗教じみた感じになってしまう感じも、世相を反映してて、ユーモラスでよろしいです。

少女七竃と七人の可愛そうな大人  桜庭一樹  8点 104 2010/01/22  
美しさに呪われた少女七竈の、せつない冒険を鮮烈に描く、大人の”少女”小説! と、帯にあります。 悲しいのか、切ないのか、耽美なのか、なんなのか、分からないまま読み終わり・・ こういう世界があっても良いとは思うけど、私にはこの作家さんは合わないな、というのが正直な感想です。 でも面白くなかったのではありません。 後ろ向きに生きる主人公が、最後にはすべてを破壊する、そんな物語かと読み進めていったら、最後は前向きな終わり方で、なんだかすごくほっとしました。

いつか陽のあたる場所で  乃南アサ  9点 121 2010/01/22  
前科を持つ女性二人が、出所して、普通の生活を取り戻そうと、普通の町で、普通の人たちと触れ合いながら、普通に暮らす、そんな作品。 派手な事件は起こらず、女性たちの心の動きに重点が置かれています。 自分がこの女性の立場だったら、やっぱり家族に見捨てられるのかな・・とか、残された家族なら、前科のある家族を受け入れることはできないだろうな・・などと、いろいろと考えさせられました。 シリーズの続編が出たら、ぜひ読みたいです。 主人公・芭子と、高木くんの恋の行方(?)も気になります。

誰が疑問符を付けたか?  太田忠司  8点 216 2010/01/22  
「ミステリなふたり」の続編。 なのに、どこにもそう書かれていない。 なぜ? 帯に「京堂夫妻シリーズ最新刊」とはありますが。 中身は前作と同じで、美人で「鉄の女」と恐れられる京堂景子警部補が、新進イラストレーターで夫の新太郎の力を借りて事件を解決する、いわゆる「安楽椅子探偵モノ」です。 外ではクールで冷たい景子が、夫の前では甘えた声を出す様子が、前作同様微笑ましいです。 赤ちゃん言葉を話すとか、そこまで羽目をはずさないので読んでて安心できます。 しかし、景子は捜査中の事件の詳細を夫(部外者)に話しすぎ・・・物語だからいいですけど。 陰惨な事件も起こるけど、仲睦まじい二人がほどほどに「いちゃいちゃ」する様子が楽しくて、軽〜く読める1冊です。 しかしタイトルに一貫性がないのはなぜなんだろう・・ 前作は本のタイトルが「ミステリなふたり」で、中の1作1作は「○○殺人事件」だったのに、この本は「ぬいぐるみはなぜ吊るされる?」などの疑問符のついた文で統一されています。 何でなんだろう〜本の中身よりタイトルのつけ方に?です。

謎 3―スペシャル・ブレンド・ミステリー (3)  佐野洋  8点 88 2010/01/22  
なかなかに読みごたえのあった短編集。 選者は恩田陸さん。 以下は一口感想。 ■「死者の電話」佐野洋 結末は早くに読めたけど、ラスト近くのやりとりに皮肉が聞いててよかった。 ■「一匹や二匹」仁木悦子 子供も読めそうな、さわやかなミステリ。 タイトルの意味が秀逸。 ■「眠れる森の醜女」戸川昌子 哀しくてエロチックな奇妙な味わい。 ■「純情な蠍」天藤真 人を信じていれば、こんな結末が待っている。 読後感がさわやか。 ■「奇縁」高橋克彦 優しい人には要注意。 ■「アメリカ・アイス」 ドラッグとかレイプとか普通に出て、読んでる間は気分悪い。 が、結末に納得。 ■「帰り花」長井彬 美術品のうんちく部分が読みづらかった。 ■「マッチ箱の人生」阿刀田高 安楽椅子探偵もの。 ラストに何とも言えない味わいが。

最後の一球  島田荘司  8点 86 2010/01/20  
「奇跡が起こったよ石岡君」 この、帯の言葉だけで胸が熱くなってしまう私は立派なミタライアン。 しかし読み終わってみると、一番良かったのはこの「帯」かもしれないと思わないでもなかったり。 物語は、悪徳サラ金に借金をして、どうしようもなくなった人が馬車道の御手洗潔の所にやってきたことから始まります。 借金関係の書類を捏造し、法外な利息を取る道徳ローンのやり方には、御手洗もお手上げなのですが、その時「奇跡」がおこり、借金を返す必要がなくなります。 その「奇跡」の正体(物語のオチ)は、本の3分の1読んだところで見え見えで、そういう意味ではとてもつまらない内容だったのですが、青春小説として読むと、なかなかに味わい深いところもあります。 もう青春期を過ぎた作者が書いた青春小説。 「異邦の騎士」とは一味違って、これはこれで胸に響くものがありました。

丑三つの村  西村望  8点 101 2010/01/20  
「津山三十人殺し」をモチーフにした小説。 登場人物の名前が違ってること。 犯人が考えたことを克明に描写してること。 などから、ノンフィクションではなくて、事件を元に作者が作ったフィクション小説なんだな、と分かります。 でも、史実に沿うところが多く、きっと犯人は、こういう風に気持ちを鬱屈させていって、凶行に至ったんだな・・と思わせるリアルさがありました。 しかしこれは実際の事件を元にした小説だからこそ、読み継がれているのであって、事件自体が作者の創作だったとしたら 「こんなことで30人も殺すなんてありえない。現実感がない」 と思われたんではないでしょうか。 まさに「事実は小説より奇なり」ですね。 最後のほうの「30人殺し」の場面は、スピーディーで陰惨で、目を背けたいけど、ラストまで一気に読まずにはいられませんでした。 蛇足ですが、著者が香川県出身と知って親しみを覚えました。

葉桜の季節に君を想うということ  歌野晶午  7点 166 2009/01/20  
しかし、長いタイトルだ・・・ 発売当初は賞を総なめにし、すごく話題になったこの本。 長編なので躊躇してましたが思い切って読んでみたら、面白くて3日くらいで読破しました。 最後にすごいどんでん返しがあると噂に聞いてたとおりの結末で 「え〜〜〜だまされた〜〜〜!!」 と、おそらくは大半の読者の人が思ったであろう、感想を抱いたのですが、そのだまされ方がなんというか 「気持ちよくだまされた」 と言う感じでなく 「気持ち悪い・・」 で、読後感は最悪でした。 【↓ネタバレしないようにあやふやな書き方します↓】 こういう人を差別しないで、という意図で書いた本なんだろうけど、逆にこういう人への差別の心を感じてしまいました。 【↑ネタバレしないようにあやふやな書き方しました↑】 霊感商法の調査をする探偵と、謎の女性の純愛物語・・なんですけどね、きっと。 展開が速いので飽きずに読め、さいごに「ぎゃっ!」と叫ぶ、そんな読書をしたい人にお奨めします。 とりあえずもう1回、ざっとナナメ読みしてみようかな。 (で、再度気持ち悪くなる、きっと)

ユアボイス―君の声に恋をして  新津きよみ  6点 117 2009/01/20  
新津きよみさんと言えば、女同士のどろどろした確執を書くのが巧い作家さん(と私の中では位置づけられている)なので、若い人向けの本でも、その「どろどろ」が出てくるのかなぁと思いながら読みました。 が、予想に反して、爽やかな後味が残る物語でした。 物語は、恋人(伸)を殺された里菜と、伸と同じ声を持つ中学生・薫の出会いから始まります。 大人と中学生の恋愛の話になるのかな?と読み進めていくと、実は薫には特殊な能力があり、その力を使って、伸を殺した犯人を探す・・これが中盤までの流れです。 事件の解決方法はネタバレになるので書きませんが、最初は犯人を捜すミステリーだったのに、「薫の特殊能力」が出たあたりから、SFチックというか、ファンタジーっぽいというか、どう分類していいか分からない、妙な雰囲気の作品になってしまいました。

初恋の湯殺人事件  吉村達也  6点 101 2009/01/20  
この前に読んだ「クリスタル殺人事件」がめっぽう面白かったので入手。 しかし、この本は首をかしげることが多く、読んだ後の感想は「こじつけっぽいー」でした。 あれよあれよと刺激的な展開が待っているので、読んでる間は楽しかったですけどね。 双子の美人姉妹のどちらが犯人なのか? 死体の周りに浮かんだりんごの意味は? など、本格っぽい謎がちりばめられた事件を追う、杉山優花巡査部長。 ・・が、優花は臨月の妊婦で、出産の前に事件を解決したいとがんばるのですが、胎児を危険にさらしても解決したい〜とがんばりすぎる気持ちがどうしても理解できない。 事件はほかの人に任せればいいのに、なぜここまで無理するのか・・? そして事件の犯人と犯行の方法(そして動機)は思いもよらぬ複雑なものでしたが、きっとこの(すごくドラマチックな)結末を先に考えて、事件の発端とかはそれにあわせて作っていったんだろうなーと思いました。 2時間ドラマにしたら、面白いかもしれません。

携帯フォビア  吉村達也  6点 120 2009/01/20  
携帯フォビアって何だろう? なんだか美味しそう・・(フォアグラ+キャビアを連想してた)と思いつつ手にしたこの本。 フォビアは恐怖症という意味で、携帯電話恐怖症の女性が集まって作った会が「携帯フォビア」なのでした。 主人公の和也は、好奇心から携帯フォビアのメンバーと交流を持ち、このメンバーの一人に殺されると予告され、誰が和也を殺そうとしているのかを調べる・・のが前半のあらすじです。 後半は、もう誰も信じられなくなるような展開が待っていて(全員、性癖が変だったり、うそつきだったり・・)面白いというより、あっけにとられつつ読破。 読み終わった感想は・・・ 「犯人はこいつなのかい!」 と、呆然。 途中の展開はスピーディーで、さくさく読めましたが、どの登場人物も、どこかまともじゃなく、感情移入できる人物がいなかったのがつらかったです。

占い師はお昼寝中  倉知淳  8点 163 2008/08/20  
猫丸先輩の人の本だ〜と手にしたこの本。 のほほんとした作風も、安楽椅子探偵な設定も、猫丸先輩と似てる・・占い師のキャラクターを新たに作るんじゃなく、猫丸先輩シリーズで書いてもよかったんじゃない?と思わないでもない。 でも、怠け者な占い師のおじさんのと、チャキチャキした主人公の美以子の掛け合いは、それなりに面白かったです。

赤い指  東野圭吾  9点 210 2008/08/20  
東野圭吾の直木賞受賞第一作。 幼女を殺害した中学生と、それを隠そうとする両親の物語です。加賀刑事に追い詰められた両親は、息子をかばうためにとんでもない行動に出ます。 この中学生(直巳)が自己中心的なことから事件が起こったのですが、そうなった原因は、母親の八重子の育て方に問題あったことで、そのまた原因は、とさかのぼると、嫁(八重子)と姑(政恵)との確執が、そもそもの事の発端なのです。 八重子はとんでもない悪妻ですが、そうなった原因が政恵にあるとすると、自業自得というか、因果応報というか、そういうものを感じます。 が、姑との諍いは誰でも経験することだし、子育てについて意見が食い違ったからといって、孫を何年も連れて行かないのはひどい。 (世間体もあるし、普通は我慢して連れて行く) やっぱりこういう悲劇が起こった最大の原因は、八重子の度を過ぎたわがままにあったのではないかと思います。 サイドストーリーとして、加賀刑事と父親の物語が平行して進むのですが、こっちにも仕掛けがあって驚かされるやら涙腺を刺激されるやら。 本編より、加賀刑事の物語に泣けました。

横溝正史自選集 3  横溝正史  9点 191 2008/08/20  
「津山三十人殺し」を題材にした、あまりにも有名な作品。 でも「津山三十人殺し」が関連してるのは最初のほうだけで、あとは、旧家の争いとか、毒殺とか、濃茶の尼とか、双子の老婆とか、鍾乳洞での攻防とか、屏風の恋文とか、もうどこをどう読んでも『横溝正史〜!』で、とにかく面白いです。 ヒロインが3人いるのですが、美人の美也子、おとなしい姉の春代、無邪気な典子、と、書き分けがすばらしく、どの女性も魅力的です。 それにしても主人公(辰弥)モテモテ・・ そして、典子は、月足らずで産まれた知恵遅れ・・と描写されてますが、そこそこに頭よさそう(中盤の感想)・・・この娘すっげえ頭いいじゃん!(最後まで読んだ感想)・・と思いました。

クリスタル殺人事件  吉村達也  8点 215 2008/08/18  
この作者の本は初めて手にしたのですが、読みたくて購入したわけではなく、たまたまここにあったから読むか・・というノリで読み始めたのでした。 なので期待度はかなり低かったにもかかわらず、めっぽう面白かったです。短編集なので読みやすいし、ひねりがきいたオチが用意されていて、本当に楽しんで読めました。 「どうにもとまらない」では、妻がAV女優だったことを知った男性の苦悩が描かれてますが、オチは本当に思いもよらないものでびっくり。 「京都大学殺人事件」では、犯人の正体よりも、最後の1ページの展開におどろかされました。 などなど、どの作品もキレのいい大逆転が待っているので、油断せず、慎重に読まないといけません。

影の祭り  森村誠一  7点 133 2008/08/18  
森村誠一・初体験です。 社会派な長編をたくさん書いてる方だと思うんですが、この短編集は不倫物が大半で、読んでるうちにちょっと飽きちゃいました。 同じテーマのばかり集めるのではなく、いろんな雰囲気の物語を集めたほうが、読み手が飽きなくていいと思います。 収録作品は「不倫期」「失われた街の伝説」「不信」「崩壊」「怒りの樹精」の5編です。 どの作品も謎が提示され、その謎が明らかになっていく過程を楽しむ推理物ですが、偶然に頼ることが多く、ちょっと覚めた目で読んでしまいました。 が、推理の過程が多少強引でも、人物の心の動きが細やかに描かれていて、充分に楽しめる1冊でした。

アイムソーリ、ママ  桐野夏生  6点 162 2008/08/18  
桐野夏生さんの本は、読めば気分が悪くなり、人生が嫌になり、本を投げ捨てたくなるのを承知で、また読んでしまう中毒性のある毒物です。 (それでも読んでしまう自分にも嫌気がさすというおまけつき) 「OUT」や、初期の村野ミロシリーズは好きだったんだけどなぁ。絶望の中にも希望が見えてて。 最近の本には絶望しか見えません。 この本では、愛を知らずに育ってきた、主人公・アイ子が罪を重ねながら生きてゆくさまが描かれています。 人を人とも思わないアイ子の所業には、腹が立つだけで、とても共感も同情も出来ません。 物語としては、11章からの展開が、想像もしてなかった方に流れていって、そうだったのか・・と驚き。 そして救いようのないラスト。 こんなところで終わっちゃうの?桐野さん・・・

御手洗パロディ・サイト事件 下  島田荘司  6点 191 2008/07/11  
〈上〉は評価5で、〈下〉は評価6。 柄刀一さんの「シリウスの雫」は、本家・島田センセイが書いたものに最も似ていて、なおかつすばらしい出来です。 変な構造の建物に、逆さまの階段。 すべての謎が解けたときに見えてきた、大きなもの。 この、はったりのかまし方は、まさしく御手洗シリーズの真骨頂。やっぱりプロの作品は一味違う! 全編読み終えて、ようやく里美の友人が失踪した理由も分かり、大団円へと向かうわけですが、パロディ作品を減らして(厳選して)半分の数でよかったのではないかと思います。 素人の作品を延々と読まされるこっちの身にもなって〜島田センセイ!!

I’m sorry,mama.  桐野夏生  6点 187 2008/07/11  
桐野夏生さんの本は、読めば気分が悪くなり、人生が嫌になり、本を投げ捨てたくなるのを承知で、また読んでしまう中毒性のある毒物です。 (それでも読んでしまう自分にも嫌気がさすというおまけつき) 「OUT」や、初期の村野ミロシリーズは好きだったんだけどなぁ。絶望の中にも希望が見えてて。 最近の本には絶望しか見えません。 この本では、愛を知らずに育ってきた、主人公・アイ子が罪を重ねながら生きてゆくさまが描かれています。 人を人とも思わないアイ子の所業には、腹が立つだけで、とても共感も同情も出来ません。 物語としては、11章からの展開が、想像もしてなかった方に流れていって、そうだったのか・・と驚き。 そして救いようのないラスト。 こんなところで終わっちゃうの?桐野さん・・・

御手洗パロディ・サイト事件 上  島田荘司  5点 175 2008/05/31  
石岡君と里美ちゃんが、ある事件のヒントがパロディサイトの小説にあると睨んで、パロディ作品を延々と呼んでいく作品・・・ つまり島田先生の名前で刊行されてるにもかかわらず、ほとんどが素人のパロディ作品です・・ 正直読むのがきつい。 結構よく出来てる作品ぞろいだけど、それでもきつい。 やっぱり本家・島田先生の強引な謎解きやら、因縁どろどろやら、ありえないものすごいトリックでの犯行とか、人が真似ても真似できるものではないんだな・・と痛感。 これから「下」を読みます。 よく出来てる作品ばかりと書きましたが「御手洗さんと石岡君が出ている偽者小説」の謎解きは、なんぼなんでも強引過ぎると思いました。

クール・キャンデー  若竹七海  7点 250 2008/04/11  
「兄貴は無実だ。あたしが証明してやる!」とはりきる中学生、渚の物語。 ストーカーに襲われ自殺した妻の無念を晴らそうと、そのストーカーを殺したと疑われる兄のため、渚は推理力と行動力をフル回転。 ちょっと無茶しながら真犯人を暴いていきます。 全部で160ページの短い物語のなかで、145ページくらいから怒涛の展開が待っています。 そうだったのね、真実は。 犯人は○○だったのね。 と、さくさく読めたのに最後にはあっと驚かせられ、なかなか楽しめた1冊でした。 主人公と同じ中学生くらいで読むともっと面白いと思うので、読み終えた本は、娘の中学校に寄贈することとします。

九つの殺人メルヘン  鯨統一郎  8点 254 2008/04/08  
バーでお酒を飲みつつ、事件の会話をしているうちに、犯人のアリバイが崩れていく・・というパターンの物語が9話収録されています。 アリバイを崩すのは、美人女子大生の桜川東子(さくらがわはるこ)。 そして、すべての事件が有名なメルヘンに結びついているという凝った構成になっています。 ちょっと、こじつけっぽいかなーと思った話もありましたが、おおむね楽しんで読めました。 あと、事件とは関係ない冒頭の部分で、いつも中年の男性トリオ(厄年トリオ)が昔のテレビ番組や音楽などに関して、グダグダしゃべる部分があって、それが無性に面白かたです。 ちょっと年代が違うので、知らない話が多かったのが残念ですが。

びっくり館の殺人  綾辻行人  8点 284 2008/01/29  
「館シリーズ」の中の1作品ですが、私はシリーズを読んでいません。 家中がびっくり箱になっているという噂の古い館に住んでいるのは、不気味な老人と虚弱体質の少年。 老人に虐待されていた少年が被害者なのかな〜と思わせておいて、数年後に驚くべき事実が明らかになります。 少年少女のために書かれたミステリーなので、謎解きは簡単だし、字も大きいしでさくさく読みましたが、ラストは思いがけず驚かされることになりました。

ミステリーの系譜  松本清張  7点 228 2008/01/29  
津山三十人殺しについて書かれた「闇に駆ける猟銃」が読みたくて入手しました。 他に「肉鍋を食う女」「二人の真犯人」も収録されていまう。 津山三十人殺しに興味があって最近いろんな本を読んでるんですが、以前に読んだ、筑波昭さんの本とダブった内容もあり、でも松本清張独自の解釈もあり、勉強になりました。 時代背景とかも、要因のひとつだったんですね。 「肉鍋を食う女」は、連れ子と一緒に継子の肉を食うという、残虐で悲惨な事件なのに、どこかユーモラスな会話があったりで、かえってその呑気な会話部分が怖かったです。

風の組曲  阿刀田高  7点 217 2008/01/15  
「こんな話を聞いた。」からはじまる短編ばかりを収録した短編集。 全部で18話あり、どれも短くあっという間に読めます。 ラスト3行で背筋がスーッと寒くなる・・っとありますが、それほど怖い作品はありませんでした。 阿刀田氏お得意のブラックユーモアもエロスも最近の短編集では控えめで、ちょっと寂しいです。

龍臥亭幻想  島田荘司  8点 338 2008/01/15  
あの「龍臥亭幻事件」の続編で、御手洗潔と吉敷竹史の競演!!と聞けばファンなら手にとらずにはいられません。 しかし御手洗と吉敷の競演というほど2人が絡むわけではなし、トリックも相変わらず大仕掛けで、あっと言わせられるものではありましたが、現実味があまりにもなさ過ぎで・・ しかし、そんな欠点を差し引いても物語としては大変面白く、あれよあれよといううちに読み終えてしまいました。 大雑把でアラが目立つところも島田荘司! それでも最後まで読ませてしまう強引な筆力も島田荘司!! ファンなら楽しめる1冊だと思います。 多少のことに目をつぶれない人は読まないほうが懸命かも?

捜神鬼  西村寿行  8点 321 2007/10/31  
「痩牛鬼」「海獣鬼」「妖獣鬼」「聖獣鬼」の4編が収録された短編集。 「痩牛鬼」は牛、「海獣鬼」はなめそ(怪魚)「妖獣鬼」は蟹、「聖獣鬼」は猫が大きな役割を持つ動物小説です。 「痩牛鬼」「海獣鬼」は、物語は全然違いますが、大きな動物をかばう人間が主人公なのが似ています。 どちらの動物も、人間より力が強く恐れられていますが、道具を使ったり集団で行動する人間にはかなわない・・というのが物語の大きくて悲しいテーマなのかな、と感じました。 「妖獣鬼」はガラッと変わって、小さな蟹が主人公です。 蟹の冒険を見守る少年・犬と蟹の間に心の交流があったのかなかったのかよく分からない、悲しい物語です。 「聖獣鬼」には鬼のような心を持つ女が登場します。女が動物との交流で優しい心を取り戻す物語・・と、単純にはくくれない奥の深い物語でした。 西村寿行、読んだことがなかったのですが、これからどんどん読みたいなと思わせる、とても読み応えのある1冊でした。

第六の大罪  栗本薫  7点 237 2007/10/23  
栗本薫初体験です。 知人に「伊集院大介命」の人がいて、その影響で手にとって見ました。 ネットの書評などで「伊集院大介モノらしくない」と評されていたこの本。 「らしい」のがどういうのかは分かりませんが、「メタボリックシンドローム」など、現代的な題材を使って書かれた、気楽に読める中短編が収録されています。 伊集院大介の名探偵ぶりは控えめなので、人物像がいまひとつ伝わってこなかったのが残念です。 収録作品はこの4編です。 「グルメ恐怖症」「食べたい貴方」「芥子沢平吉の情熱」「地上最凶の御馳走」。

橋を渡るとき  光原百合  8点 252 2007/09/11  
「兄貴の純情」「橋を渡るとき」「時計を忘れて森へ行こう」の3編が収録された短編集。 癒し系ミステリとでも分類されそうな作品ばかりです。 人が死なないだけでなく、登場人物が推理を働かせるのは、相手を思いやる気持ちから・・と言う展開が多いです。 大仕掛けなトリックで大量殺人が起こる本も刺激があって面白いですが、そういう本に疲れたら、このようなほんわかした気分になれる本を読めばバランスが取れそうです。 不器用な兄貴の恋の行く末を見守る「兄貴の純情」、橋を怖がる理由を解き明かす「橋を渡るとき」、暴力を振るった教師の本当の気持ちを解き明かす「時計を忘れて森へ行こう」、とどの作品も、人が人を思いやる気持ちを土台にした作品でした。 謎解きも、意外と本格的で、伏線もきちんと張られています。オススメ。

秋の終りの旅  渡辺淳一  7点 218 2007/09/11  
不倫と性愛の巨匠、渡辺淳一先生の初期短編集。 初期の医学ものが読みたかったのですが、医学より男女の愛をテーマにした作品が多かったです。が、結構読み応えがあり面白かったです。 表題作の「秋の終りの旅」では、余命半年と診断された友人への接し方に戸惑う主人公の心の動きが細やかに表現されています。 人は死ぬ間際に異性を求める・・と言うくだりは、たしかに人も動物だから死ぬ前に遺伝子を残したいと言う本能に動かされるんだな、と納得させられました。 結末は唐突で皮肉とも取れる展開でした。 「ガラスの結晶」では、恋人の子供を堕胎した主人公が、次第に精神のバランスを失っていく様子が怖かったです。ちょっと予想できたけど、この結末は・・・やっぱり恐ろしい! 収録作品は上記の2編と「流氷の原」「玉虫厨子」「奈落の底」の、合計5編です。

殺意  松本清張  8点 255 2007/08/23  
小学校高学年向けの短編集。 松本清張は小学生には難解じゃないかなと思ったけど「万葉翡翠」の万葉集の薀蓄の部分以外は読みやすいんじゃないかと思いました。 収録作品は「部分」「殺意」「万葉翡翠」「顔」の4編です。 最愛の妻に似ているのに醜い義母に殺意を抱く主人公の身勝手さに腹立ちながら、意外な展開に驚かされた「部分」、人間心理の奥深い解釈が絶妙な「殺意」など、どの作品も興味深く読むことが出来ました。 「顔」では、役者としての成功を願いながら、スクリーンに顔をさらされるのを嫌がる主人公の矛盾した行動に頭を「?」だらけさせられましたが、終盤のまさかの展開にあっと驚かされました。

連鎖する虐待  みひろゆう  8点 241 2007/08/18  
最初は児童虐待の事例がたくさん載っているノンフィクションかなと思って手に取ったのですが、長編のフィクションでした。 が、綿密に取材されて書かれた作品らしく、読み応えのある内容で、一気に読んでしまいました。 物語は、母親とその恋人から虐待を受ける小学3年生のもえと、虐待に気づきまわりに協力を求めようとする女性教師・恵を中心に進んでいきます。 もえが受ける虐待の描写がすさまじく、また、虐待の事実を認めようとしない学校関係者・周りの人々の態度に腹を立て、どうかもえに幸せな結末が訪れますように・・と願わずに入られませんでした。 結末がどうなったかはネタバレになるので書きませんが、最後のほうは物語としてはまとまっていましたが、ちょっと作りすぎのような気もしました。(それだけ前半〜中盤がよく出来ていたということです) 虐待はよくないよ・・と、当たり前のことをあらためて気づかせてくれた1冊でした。

犯人のいない殺人の夜  東野圭吾  8点 253 2007/08/14  
まとめて読書する時間が取れないので短編集ばかり読んでます。 東野圭吾は短編も読み応えありますが、できれば人の心理を掘り下げた大長編を読みたいな、とあらためて思いました。 収録作品は「小さな故意の物語」「闇の中の二人」「踊り子」「エンドレス・ナイト」「白い凶器」「さよならコーチ」「犯人のいない殺人の夜」の7編です。 どれも短編として上手くまとまっていて、やっぱり東野圭吾って上手いなぁと思わせられる内容でした。 謎の美少女に恋焦がれる切ない思いを描いた「踊り子」、犯人のつらい心情の描写が胸に迫る「白い凶器」などがオススメです。 ちょっとややこしかったけど、展開に驚かされたのは表題作の「犯人のいない殺人の夜」。 犯人のいないってどういう意味〜?と読み進めて、ラストですべての謎が解けます。なるほどと納得しつつ、次は絶対大長編を読みたいな、とまた思ってしまいました。

夏期限定トロピカルパフェ事件  米澤穂信  8点 251 2007/07/31  
「春期限定いちごタルト事件」の続編。 甘そうなタイトルとふんわりとした雰囲気の表紙絵は、大人が手に取りにくい雰囲気ですが、中身は甘くはありません。 「春期限定いちごタルト事件」で、ブラックな部分をちらりと見せていた小山内さんの本性が垣間見えてとてもスリリングな物語でした。 が、小山内さんの怖さはこんなものでないはず! 続編「秋期限定○○○事件」が刊行されることを期待しています。

恋人とその弟  仁木悦子  8点 235 2007/07/17  
「恋人とその弟」「鬼子母(きしも)の手」「あの人はいずこの空に」「銅の魚」の4編が収録された短編集。 どの作品も探偵役は子供で、子供ならではの視点で事件を解決していきます。 殺人事件もおこりますが、全体的にほんわかした雰囲気を楽しみながら楽しめました。 「鬼子母の手」は事件の解決よりも、その動機の方が印象に残りました。事件が解決したからハッピーエンド・・ではなく、悲しい結末に思わず涙腺が緩みそうになりました。

お年玉殺人事件  都筑道夫  7点 272 2007/07/03  
「五七五ばやり」「お年玉殺人事件」「密室大安売り」「メグレもどき」の4編が収録された短編集。 俳句に秘められた謎を解く「五七五ばやり」」、密室がテーマの「密室大安売り」、主人公がメグレ警部のコスプレを楽しむ「メグレもどき」と、いわゆる「本格」好きの人には肩がこらずにさらっと読める短編集です。 が、この本は小学校高学年向けなので、子供が読んで楽しめるかというと、どうかと思いました。 ストーリーは理解できると思いますが、「本格」を知らない子供には、楽しみどころがいまひとつ伝わらないんじゃないかと思ったんですが、実際のところはどうなんでしょうか<

春期限定いちごタルト事件  米澤穂信  8点 254 2007/07/02  
高校一年生の小鳩さんと小山内さんは、本当は頭脳明晰な名探偵ですが、周りにはそのことを隠しています。 ひたすら目立たない「小市民」として学生生活を送りたい二人の前には、なぜか次々と謎が現れ、その度に謎を解く必要に迫られるのでした。 なぜ二人が「小市民」にこだわるのか、この本でははっきりとは書かれていません。が、過去に大きな事件が起こったことは推測できます、 続編(夏期限定トロピカルパフェ事件)ではそのあたりがはっきり書かれているのか気になるところですが、この本ではわかりそうで分からない、もどかしい感じで終わってるのが逆に良い味を出していると思います。 殺人のおこらない、ほんわかした雰囲気のミステリーで軽く読めますが、謎解きは結構本格的だし、小柄でおとなしい小山内さんが、見かけとは裏腹に心にダークなものを抱えていそうな予感・・・。 続編もすぐ取り寄せて読みます。

風の墓碑銘  乃南アサ  8点 225 2007/06/19  
女刑事・音道貴子シリーズ。タイトルは「かぜのエピタフ」と読みます。 「凍える牙」以来の、音道・滝沢の名コンビの復活です。 工事現場から見つかった白骨死体と、徘徊老人の撲殺事件。何の関係もないと思われていた2つの事件が、音道の執念と滝沢の職人技で、焦点を結び、解決に向かっていきます。 多少「音道の勘」に頼った捜査があるような気もしましたが、展開が速く、飽きずに読み進めることができました。 最大の読みどころは、事件の背景ではなく、やはり音道・滝沢の名コンビのやり取りでしょう、 お互いに反発しながらも地道に捜査を進めていく様子、またお互いの家庭、体調、など事件以外のことでも心を煩わされている様子がリアルで面白かったです。

トリュフとトナカイ  泡坂妻夫  6点 221 2007/06/18  
「開橋式次第」「金津の切符」「トリュフとトナカイ」「蚊取湖殺人事件」の4編が収録された短編集。 泡坂氏の著書を読むのは初めてなのですが、どうも文体が私にあわないようで、あまり楽しんで読むことができませんでした。 「開橋式次第」に出てくる人の名が『一夫・一郎・一也』等に統一されている言葉遊びも、誰が誰だか分からなくなるだけで、頭がごちゃごちゃになりました。 ただ「金津の切符」に出る収集癖のある男の名前が『箱夫』なのは面白いと思いましたけど。 言葉遊びは楽しめたり楽しめなかったりでしたが、肝心の事件のトリックの方は、それなりに凝っていて、楽しめました。 「金津の切符」の謎解きには驚かされました。 「蚊取湖殺人事件」は出来過ぎような気もするけど、フィクションとして楽しめるぎりぎりの線でしょうか・・。映像化されたらかなり絵になるトリックだと思います。

超怖い話Z(ゼータ)  平山夢明/編  6点 237 2007/06/10  
タイトルどおり、怖い話ばかり収録されています。 カバーには「全部実話」と書かれています。 怪談集として考えればそこそこ怖い、くらいで済みますが、実際にあった話と考えると、やっぱりものすごく怖いですね。自分の身の回りではおきて欲しくないです。 関係ない話ですが、夜中に一人で読んでたら変な物音がして、確かめに行くのにすごく勇気がいりました。携帯電話の音とわかったときには、かなりほっとしました。

気まぐれな犯罪者  赤川次郎  6点 224 2007/05/28  
「金メッキの英雄」「残された日々」「気まぐれな犯罪者」「脱出順位」の4編が収録された短編集。 「金メッキの英雄」「残された日々」は終わり方が唐突で(特に「残された日々」はギャグなのか真面目なのか分からないオチで)肩透かしな印象でした。 「気まぐれな犯罪者」のは万引きを繰り返す主婦が登場します。主婦を万引きに走らせる原因は、まあ納得できましたが、最終章ではあっと驚く怒涛の展開が待ち受けていて、面白いというよりあまりにも無理やりな展開に思えて楽しめませんでした。 「脱出順位」は、火事で妻子を亡くしたことが心の傷になっている主人公が、別の事故が起こった時、人々を助けたとにより、心の傷を癒していく物語です。 主人公の心理描写が細やかで、この4編の中では一番の出来だと思います。

ストーリーの迷宮  阿刀田高  6点 211 2007/05/08  
「ものがたりが物語を生む。」と帯に書かれてあって、なんのこっちゃと言う感じですが、過去の名作を下敷きにした物語ばかりが収録されています。 収録作品は「薔薇配達人」「白い顔」「修善寺にて」「カルメンお通艶」「学校が危ない」「遠い贈り物」「ロゴスを捜して」「昨日の花」「神々は笑う」「ストーリーの迷宮」の10編です。 博識で読書家の著者らしい試みだとは思いますが、過去の名作を下敷きにすることにこだわりすぎて、物語に広がりがなくなっています。 「神々は笑う」は聖書などを下敷きにした作品で、著者の宗教観や死生観が語られていますが、いまひとつ言いたいことが伝わってこず、もどかしかったです。 どの作品も全盛期のようなキレがなく、あまり楽しんで読めなかったというのが素直な感想です。 そんな中「ストーリーの迷宮」は現実とフィクションの区別が曖昧になる感じがリアルでよかったです。読書家の著者らしい発想だと思います。

動物園の暗号  有栖川有栖  7点 330 2007/04/23  
小学校高学年向けの短編集。 「やけた線路の上の死体」「ローカル線とシンデレラ」「動物園の暗号」「落とし穴」の4編が収録されています。 鉄道ミステリーあり、暗号あり、アリバイ工作あり、と本格ミステリーらしい仕掛けがいっぱいで楽しめました。 「動物園の暗号」の暗号が解ける小学生がいたら凄いと思います。この方面の知識がある人にはなんでもない暗号なのかもしれませんが。 「落とし穴」では完全犯罪を計画した男が登場します。その犯罪が成功するのか失敗するのか、どきどきしながページをめくり、なんとなくユーモラスな結末にくすりと笑わされました。

溺れる人魚  島田荘司  7点 249 2007/03/27  
「溺れる人魚」「人魚兵器」「耳の光る児」「海と毒薬」の4編が収録されています。 御手洗潔シリーズですが、「溺れる人魚」には名前しか出てきません。(もどかしい!) 「人魚兵器」「耳の光る児」ではいつもどおり鋭い推理を見せてくれますが、御手洗+石岡コンビでないのが残念!「海と毒薬」は、その石岡が御手洗にあてた手紙、という構成になっています。 「溺れる人魚」では同じ拳銃で同じ時刻に離れた場所で殺人が起こった謎、「人魚兵器」は人魚の死体、「耳の光る児」は耳の光る赤ん坊・・・と、相変わらずとんでもない謎が提示されますが、推理は鮮やかに進み、それなりに満足できる内容でした。 ただ、車や歴史に関する薀蓄が長くて、いまひとつスピーディーな感じがしなかったのが残念です。 「海と毒薬」は「異邦の騎士」の後日談です。「異邦の騎士」を読んでない人には何のことかわからない場面もあると思います。 ある女性からの手紙の内容が綴られていますが、その女性の半生が暗く、気が滅入りました。 終わり方がそれなりに前向きだったのが救いです。

西瓜流し  阿刀田高  7点 236 2007/03/27  
妙に字が大きい本だなと思って調べてみると「小学校高学年から」となっていました。振り仮名も多く振られているし、終わりの解説も懇切丁寧です。 収録作品は「茜色の空」「柳の下のジンクス」「演技」「干魚と漏電」「幸福を交換する男」「冥い(くらい)道」「西瓜流し」の7編です。 どの作品も他の短編集から抜粋された傑作ぞろいで、落ちのブラックユーモアが冴えています。私はどれも再読なのでラストが分かってしまいましたが、知らない人はもっと楽しんで読めると思います、 惜しいのは「茜色の空」と「幸福を交換する男」のラストが、かなり似ていることですね。どちらかは別の作品と差し替えたほうがよかったのでは。(作品はいっぱいあるし) 子供向けなので、エロスな描写の入った作品を除外していくと、このラインナップになったのでしょうか。

お見世出し  森山東  6点 238 2007/03/07  
この作者の本を読むのは2冊目ですが(たぶんまだ2冊しか刊行されていませんが)どうも感性が私と合わないようです。まだ以前に読んだ「デス・ネイル」のほうが楽しめました。 収録作品は、第十一回日本ホラー大賞受賞の「お見世出し」と、「お化け」「呪扇」の3編です。 3編とも京都を舞台にした、和風なホラー作品です。 「お見世出し」 舞妓になる為の修行中の綾乃は、周りの人間に「幸恵」そっくりだと言われ、調べると幸恵という名の少女が30年前に自殺したことを知るのでした。 2人がそっくりで、同じ舞妓を目指している(目指していた)ことから「二人の魂が入れ替わる(または乗っ取られる)物語かな、と読み進めていくと、そのような展開が待っていたわけですが、ラストがよく分からなかったです。 「お化け」 この物語には、とても美しいのに意地悪な春紅という名の少女が登場しますが、この娘の性格が極端すぎてついていけません。一昔前の少女マンガの意地悪キャラみたいな感じと言えば分かりやすいでしょうか? 霊感少女・春雪も、物語のキーになるキャラではありますが、「不思議ちゃん」ぶりがすごくてこっちにもついていけない。 物語で「敵」として登場する鬼は、結局何者なのでしょうか?昔話に出てくる鬼と一緒?やっぱりよく分からない・・。 「呪扇」 この物語では「呪扇(じゅせん)」という、相手を呪う事ができる扇が登場します。 この呪扇の製造過程がエグイ。処女を何人も集める、という展開から大体予想はできましたが、描写がグロくてついていけません。乱歩的なのを狙ったのではと思うのですが、耽美・背徳ではなく、ただの悪趣味のようにしか見えませんでした。

網走発遙かなり  島田荘司  9点 288 2007/03/01  
「丘の上」「化石の街」「乱歩の幻影」「網走発遙かなり」の4章からなる連作ミステリー。 各章、独立した短編でありながら、1〜3章で少しずつ提示された謎が最終章ですべて解ける、という構成になっています。 全章、乱歩的な世界感にあふれ、それでいながら島田荘司的でもあり、幻想的、かつ緻密な構成を楽しんで読むことができました。 「丘の上」では、美少年の剥製を作ろうと企む老人。 「化石の街」では、都心に出没するピエロ。 「乱歩の幻影」では、乱歩の過去の犯罪。 「網走発遙かなり」では、列車から消失する死体。 などなど、細かい謎が盛りだくさんに用意されています。それらの謎解きの爽快感、登場人物の切ない心情の描写、と本当に色々な意味で壮大な、読み応えのある1冊でした。

デス・ネイル  森山東  6点 225 2007/02/21  
下記の4編が収録されています。 どの作品も読みやすかったですが、「デス・ネイル」「月の川」はラストが唐突な感じがしました。伏線もなく「え!こう終わっちゃうの?」で終わってなんだかこっちの胸がもやもやです。「幸運を呼ぶ魚」「感光タクシー」は上手くまとまっていました。 「デス・ネイル」 ネイリストの卵・奈々子は、老人ホームで出会った婦人にマニキュアをしたときから特殊な能力を身につけます。そしてカリスマネイリストとなった奈々子ですが、全身に爪が生えるという奇病「デス・ネイル」の患者に出会い、自分のネイリストとしての技術で患者を救おうと思うのでした。 なんだか私の書き方が悪くて、陳腐な印象を受けますが、実際には、中盤までは結構面白かったです。ただ後半になって奈々子の性格が豹変したので、話についていけなくなりました。あと、やはり「デス・ネイル」という病気が唐突過ぎて現実味がないですよね。ワンシーンだけエロスな描写が出たのも中途半端で散漫な印象がしました。(どうせなら全編エロの方がいい!) 「幸運を呼ぶ魚」 可愛がっているアロワナが願い事をかなえてくれる事に気づいた主人公(男性)は、他にも願い事をかなえて貰おうとしますが、家族に不幸なことばかり起こりはじめます。はたしてアロワナは幸運を呼ぶ魚なのでしょうか、それとも不幸を呼ぶ魚なのでしょうか。 ラストの展開はちょっと読めましたが、子供のお受験で、他の子供を妬む様子がリアルでよかったです。 「月の川」 美貌の人妻が夜になると裸になって奇行にはしる理由とは・・・ 結末から言うと和製ホラーとでも分類できるんでしょうか?しかし唐突なラストに面食らいました(悪い意味で)。美形の有馬さんが超グラマーで息子が不器量なのはなんでなんだろう?必然性があったんでしょうか?? 「感光タクシー」 なんだか怪しいタクシーに乗ったサキとチャミ。運転手はもしや死者?私たちは死人の世界に連れて行かれちゃうの・・・!!? が、後半では思わぬ展開が。ちょっと怖くて優しい気持ちにもなれる前向きなラストで好感が持てました。

おとこ坂おんな坂  阿刀田高  7点 328 2007/02/13  
日本各地を舞台にした12編が収録された短編集。 「独りぼっち」「爪のあと」「あつもり草」「つり天井」「鯉づくし」「ルビコンという酒場」「生まれ変わり」「黄色い小びん」「恋の行方」「生き方の研究」「滑る女」「あやかしの町」の12編が収録されています。 どの作品も可もなし不可もなし、という印象でさらっと読めました。印象に残った作品の感想を書いておきます。 「つり天井」このネタ(トリック)は他の作品で読んだことがあるので、すぐに結末が読めました。(トリックの使い回しはさすがにマズイですよね・・) 「ルビコンという酒場」ルビコン川の逸話って有名なんでしょうか?私は不勉強なので知りませんでした。が、登場人物たちは一般知識として知ってるようで、自分の無知さを再認識させられました。 「恋の行方」言葉遊び、だんだらの説明が面白かったです。本編はつけたしみたいに思えました。 「滑る女」この作品は分からない。幻想的な作品なんだけど、情景が頭に浮かばない。滑るように歩く女、と表現されても・・ねぇ。

ZOO  乙一  9点 479 2007/01/30  
短編集。収録作品は「カザリとヨーコ」「血液を探せ!」「陽だまりの詩」「SO-far そ・ふぁー」「冷たい森の白い家」「Closet」「神の言葉」「ZOO」「SEVEN ROOMS」「落ちる飛行機の中で」の10編です。 どの作品も乙一らしい毒と仕掛けが満載で、とても楽しんで読めました。 「カザリとヨーコ」に登場するのは、一卵性の双子なのに、まったく逆の扱いを受けている姉妹です。カザリは母に可愛がられ、ヨーコは食事も部屋も与えられず、絶えず暴力を受けています。ヨーコの虐待される様子は、漫画チックで大げさではありますが、心が痛くなります。結末は少し予想できましたが、ヨーコの未来に希望があることを祈らずにはいられません。 「陽だまりの詩」はロボットの主人公が、次第に人間らしくなる様子を描いた物語です。主人である人間やウサギの死に触れて、だんだん心らしいものを手に入れていく姿は物悲しく切ないです。ラストの展開はまったく予想してなかったので驚きました。 一番切なかったのは「SEVEN ROOMS」です。誘拐され、監禁されたうえバラバラにして殺される物語が切ないというのもどうかとは思いますが、心がバラバラだった姉弟がラストではこんな結末を望むとは・・(ネタバレのため書きませんが)。姉弟以外の人物の言動にも、よく読むとラストへの伏線が隠されています。 他の作品もすべて面白かったですが、印象に残った3編の感想を書いてみました。

Total: 358   1-50  次の50件
1  2  3  4  5  6  7  8 



Google [PR]求人・転職